こんばんは。社会保険労務士・行政書士の浜田です。
今日は、兵庫県の三田市の人気洋菓子店「パティシエ エス コヤマ」が、菓子の製造や販売を担当する従業員に月100時間超の時間外労働をさせていたとして、労働基準法違反で伊丹労働基準監督署(兵庫県伊丹市)から3年間で2度にわたり是正勧告を受けていたことについて、解説しようと思います。
2020年4月から月100時間以上の時間外労働及び休日労働は認められません!
この事件の事実は、平成30年に従業員約100人のうち55人が長時間の時間外労働をしており、一部で残業代の未払いがあったとのことで勧告を受けたが、その当時から改善がなされておらず現在に至っていることから、再度、今年になって勧告を受けたというものです。
これを受けて、同社は閉店時間を原則1時間早めるなど改善を実施し、未払い残業代についても2年分をさかのぼって支給すると決めたとのことでした。
ご存じかもしれませんが、時間外労働を従業員にさせるためには、大前提として36(さぶろく)協定の労働基準監督署への提出が必要になります。これを提出せずに従業員に時間外労働をさせると違法になります。
そして、これまではこの36協定を出していて、残業代をきちんと払ってさえいれば、何時間働かせても大丈夫といった感じでした。
しかし、 労働時間に上限ができたので2020年4月からこの36協定があったとしても、月100時間以上の時間外労働及び休日労働をさせることはできません。
※建設業等一部の業種は、2024年4月から適用になります。
守っていない場合は、事業者は「6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金」に処せられる可能性があります。
そういった意味で、今回の事件もそうですが、
まず、時間外労働に対して未払い残業代があるかどうかも大切ですが、そもそも法に触れるような長時間労働もしていないかもチェックする必要が出てくるということです。
さらに、そもそも時間外労働がどういった場合に発生するか(何が労働時間になるか?)も知っておく必要があるでしょう。
こういったケースも実は、労働時間です!
・一度、会社に集まってから資材等の準備等を行い、建設現場に全員で移動する場合の移動時間
・作業着への着替えや準備体操の時間、清掃の時間
・使用者の指揮命令下にある場合は、実作業に従事していない仮眠時間
・交互に運転しているトラックの助手席で休息し、又は仮眠している時間
・参加することが業務上義務付けられている研修・職業訓練の受講に要する時間
・使用者が具体的に指示した仕事が客観的にみて正規の勤務の時間内ではなされ得ないと認められる場合の時間外労働
・休憩時間とされていても、来客当番等で待機させている時間
これらは、労働時間に該当することから、当然これらを含めて労働時間をカウントする必要があり、これらが労働基準法でいう法定の労働時間をオーバーするのであれば、賃金の上乗せが、法律上当然に必要になるということになります。
そのため、経営者としては、大前提として何が労働時間になるかを知っておかないと、
想定外の時間外労働(自覚がないままに残業代が発生しているような状態)が生じてしまうのでくれぐれもご注意ください。