こんにちは。社会保険労務士・行政書士の浜田です。
今日は、運送業者様にとって大切な「点呼」についてお話しします。
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そもそも「点呼」とは?
そもそも「点呼」とは、何でしょうか?
事業者は、運転手がトラックを運転する前や後に「酒気帯びがないか」「睡眠不足等がないか」を確認する必要等があります。
そして、これらの確認等を行うために「点呼」を行うということです。
点呼は、「対面」による必要はあるのか?
それでは、点呼自体は、「対面」による必要があるのでしょうか?
実は、この答えは法律に記載されています。
「貨物自動車運送事業輸送安全規則」という法律があるのですが、この中に「運行管理者」に関することが記載されており、
(点呼等)
第七条 貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の乗務を開始しようとする運転者に対し、対面(運行上やむを得ない場合は電話その他の方法。次項において同じ。)により点呼を行い、次に掲げる事項について報告を求め、及び確認を行い、並びに事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な指示をしなければならない。ただし、輸送の安全の確保に関する取組が優良であると認められる営業所において、貨物自動車運送事業者が点呼を行う場合にあっては、当該貨物自動車運送事業者は、対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定めた機器による点呼を行うことができる。
一 酒気帯びの有無
二 疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無
三 道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第四十七条の二第一項及び第二項の規定による点検の実施又はその確認
2 貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の乗務を終了した運転者に対し、対面により点呼を行い、当該乗務に係る事業用自動車、道路及び運行の状況並びに他の運転者と交替した場合にあっては第十七条第四号の規定による通告について報告を求め、及び酒気帯びの有無について確認を行わなければならない。ただし、輸送の安全の確保に関する取組が優良であると認められる営業所において、貨物自動車運送事業者が点呼を行う場合にあっては、当該貨物自動車運送事業者は、対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定めた機器による点呼を行うことができる。
3 貨物自動車運送事業者は、前二項に規定する点呼のいずれも対面(輸送の安全の確保に関する取組が優良であると認められる営業所において、貨物自動車運送事業者が点呼を行う場合にあっては、国土交通大臣が定めた機器による方法を含む。)で行うことができない乗務を行う運転者に対し、当該点呼のほかに、当該乗務の途中において少なくとも一回電話その他の方法により点呼を行い、第一項第一号及び第二号に掲げる事項について報告を求め、及び確認を行い、並びに事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な指示をしなければならない。
4 貨物自動車運送事業者は、アルコール検知器(呼気に含まれるアルコールを検知する機器であって、国土交通大臣が告示で定めるものをいう。以下同じ。)を営業所ごとに備え、常時有効に保持するとともに、前三項の規定により酒気帯びの有無について確認を行う場合には、運転者の状態を目視等で確認するほか、当該運転者の属する営業所に備えられたアルコール検知器を用いて行わなければならない。
5 貨物自動車運送事業者は、第一項から第三項までの規定により点呼を行い、報告を求め、確認を行い、及び指示をしたときは、運転者ごとに点呼を行った旨、報告、確認及び指示の内容並びに次に掲げる事項を記録し、かつ、その記録を一年間保存しなければならない。
一 点呼を行った者及び点呼を受けた運転者の氏名
二 点呼を受けた運転者が乗務する事業用自動車の自動車登録番号その他の当該事業用自動車を識別できる表示
三 点呼の日時
四 点呼の方法
五 その他必要な事項
とあります。
上記の文言から、原則は「対面」によることが読みとれると思います。
しかしながら、例外として
・輸送の安全の確保に関する取組が優良であると認められる営業所において、貨物自動車運送事業者が点呼を行う場合にあっては、当該貨物自動車運送事業者は、対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定めた機器による点呼を行うことができる。
・対面(輸送の安全の確保に関する取組が優良であると認められる営業所において、貨物自動車運送事業者が点呼を行う場合にあっては、国土交通大臣が定めた機器による方法を含む。)で行うことができない乗務を行う運転者に対し、当該点呼のほかに、当該乗務の途中において少なくとも一回電話その他の方法により点呼を行い……
とあり、「絶対に対面」でなければならないというわけでもないこともわかると思います。
とはいえ、この対面以外の方法を使用できるのは、「輸送の安全の確保に関する取組が優良であると認められる営業所」や「対面で点呼を行えない乗務についている運転手」だったりとごくごく限定されているのも事実です。
令和4年4月1日から「遠隔点呼」が実施できます!
上記のような議論が出るのは、例えば、「営業所」と「車庫」が結構離れているような場合です。
この場合、点呼を受けるために運転手が営業所に行くか、それとも運行管理者が車庫へ行くか
をする必要があったのですが、
令和4年4月1日からは「遠隔点呼」というものができるようになりました。
こちらは、上記のような限定的なものではなく、要件さえ整えば「全ての営業所」において実施は可能です。
こちらは、カメラやモニターを使用して、営業所と車庫を行き来することなく点呼ができるようにするものです。
そのため、使いこなせれば非常に便利と言えるでしょう。
ただし、点呼本来の制度趣旨が損なわれることのないように、カメラに映る時の照度等に一定の制約があり、また、そもそも遠隔点呼を実施するためには、運輸支局長等への申請が必要なることも留意が必要です。
さらに、
事前に登録された運行管理者等以外の者が遠隔点呼を行うことができないよう、個人を確実に識別できる生体認証機能を有すること。生体認証機能の例として、顔認証、静脈認証又は虹彩認証等が挙げられる。
事前に登録された運転者以外の者が遠隔点呼を受けることができないよう、個人を確実に識別できる生体認証機能を有すること。生体認証機能の例として、顔認証、静脈認証又は虹彩認証等が挙げられる。なお、運転者は乗務割に基づいて認証されることが望ましい。
とあり、「生体認証機能」も必要になることから、少しハードルは高いかもしれませんが、時間を大幅に節約できる可能性があるため、大きなメリットになることは間違いありません。
まとめ
いかがだったでしょうか?
点呼に関しては、法律上、はっきりと文言があることから、しっかりと遵守する必要があります。
遠隔点呼制度もスタートしておりますので、上手く使いこなせれば時短になることは間違いないので、利用できる事業者様は積極的に活用してみてはいかがでしょうか?
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