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就業規則で労使トラブルが防止できる?
就業規則は会社のルールなのですが、就業規則を作成することで労使トラブルを防止できるのでしょうか?
答えは、イエスでありノーでもあります。
何故なのか、以下で理由をお話ししていきましょう。
就業規則のとある文言をめぐるトラブル
意外かもしれませんが、就業規則を定めたことにより生ずるトラブルもあります。
例えばですが、「1年契約の契約社員の定年は、65歳とする」という規定はいかがでしょうか。一見何も問題がないように見えますが、実はこれは様々な労使トラブルのリスクを抱えています。
まず、そもそもですが、契約社員に定年は必要なのでしょうか?定年よりも早く雇用が終わる可能性が高いからこそ、期間を限定した有期雇用にしているのではないでしょうか?
しかしながら、このようなルールが存在する会社がほとんどです。
このようなルールがあるせいで、少々言い方が堅苦しくなりますが、労働契約法19条第2号にある「更新されるものと期待することについて合理的な理由がある」と判断されかねないです。つまり、「継続して今後も雇用するから、定年の定めがあるんですよね?」と解釈されてしまうということです。
ということは、合理的な理由がない限り、有期雇用であるにもかかわらず解雇ができないという結論になってしまう可能性が高いということになります。
上記は、ほんの一例ではありますが、就業規則に余計な文言を入れたことにより発生してしまうトラブルになります。
では、就業規則は定めなくてもいいのか?
では、上記のようなトラブルが起こるなら就業規則はない方がいいのでしょうか?
そんなことはありません。
そもそもですが、10人以上従業員を雇用する場合は、就業規則の作成と届出は義務です。また、10人未満であったとしても、従業員へのルールをある程度一律でそろえることが会社経営上、効率的になることを踏まえると就業規則は必須です。
また、助成金を支給する際にも就業規則が必要になるケースが多いので、就業規則はあったほうがいいと言えるでしょう。
そして、何より雇用契約書でカバーできない部分を就業規則でしっかりと定めておくことによりカバーでき、それにより労使トラブルを防止できることができます。
大切なことは会社に合ったオーダーメイドの就業規則
例えば、スーツのオーダーメイドもそうですが、体格が違えばその人の体格に合ったサイズを採寸しオーダーメイドすることが大切ですし、その人の好きな色やデザインも含めてオーダーメイドすることが理想でしょう。
就業規則も同じです。社員数が違えば、それによって定めるべき事項が変わりますし、経営者がどういった会社を作りたいかといった理念によっても内容は当然変わってきます。
だからこそ、オーダーメイドで就業規則を作ることが大切になってきます。
適切な文言を適切なボリュームで記載することが、就業規則作成には必須と言えるでしょう。