育児介護休業法の改正点及び新年のご挨拶

明けましておめでとうございます。

今年も当事務所をどうぞよろしくお願いします。

さて、本日は育児介護休業法の現行法及び今後の改正点について、改めて確認していきましょう。

また、就業規則との関係についても触れていきます。

育児介護休業法の現行法(令和4年1月1日時点)

現時点の育児介護休業法については、令和3年1月1日施行のものが最新ということになります。

令和3年1月1日での主な改正点は下記のとおりです。

・「子の看護休暇」「介護休暇」が時間単位で取得できるようになっています。
⇒これまでは、半日単位での取得しかできませんでした。

・上記により、全労働者が取得可能に!
⇒これまでは、半日単位であることから、1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は取得不可でした。

今後の改正点について(令和4年4月1日~)

1 雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化

● 育児休業を取得しやすい雇用環境の整備
⇒育児休業と産後パパ育休の申し出が円滑に行われるようにするため、事業主は以下のいずれかの措置を講じなければなりません。
※複数の措置を講じることが望ましいです。

① 育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
② 育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
③ 自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
④ 自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

● 妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置

本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、事業主は育児休業制度等に関する以下の事項の周知と休業の取得意向の確認を、個別に行わなければなりません。
※取得を控えさせるような形での個別周知と意向確認は認められません。

≪周知事項≫
① 育児休業・産後パパ育休に関する制度
② 育児休業・産後パパ育休の申し出先
③ 育児休業給付に関すること
④ 労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い

≪個別周知・意向確認の方法≫
①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等 のいずれか
注:①はオンライン面談も可能。③④は労働者が希望した場合のみ。

2 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

≪現行制度≫
(育児休業の場合)
(1) 引き続き雇用された期間が1年以上
(2) 1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない

≪令和4年4月1日から≫
(1)の要件を撤廃し、(2)のみに
※無期雇用労働者と同様の取り扱い(引き続き雇用された期間が1年未満の労働者は労使協定の締結により除外可)
※育児休業給付についても同様に緩和

今後の改正点について(令和4年10月1日~)

産後パパ育休(出生時育児休業)の創設及び育児休業の分割取得

厚生労働省資料より

※1 雇用環境の整備などについて、今回の改正で義務付けられる内容を上回る取り組みの実施を労使協定で定めている場合は、1か月前までとすることができます。
※2 具体的な手続きの流れは以下①~④のとおりです。
①労働者が就業してもよい場合は、事業主にその条件を申し出
②事業主は、労働者が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を提示(候補日等がない場合はその旨)
③労働者が同意
④事業主が通知
なお、就業可能日等には上限があります。
●休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分
●休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満
例)所定労働時間が1日8時間、1週間の所定労働日が5日の労働者が、休業2週間・休業期間中の所定労働日10日・休業期間中の所定労働時間80時間の場合
⇒ 就業日数上限5日、就業時間上限40時間、休業開始・終了予定日の就業は8時間未満
※3 1歳以降の育児休業が、他の子についての産前・産後休業、産後パパ育休、介護休業または新たな育児
休業の開始により育児休業が終了した場合で、産休等の対象だった子等が死亡等したときは、再度育児
休業を取得できます。

≪イメージ≫

厚生労働省資料より

育児休業等を理由とする不利益取り扱いの禁止・ハラスメント防止

育児休業等の申し出・取得を理由に、事業主が解雇や退職強要、正社員からパートへの契約変更等の不利益な取り扱いを行うことは禁止されています。今回の改正で、妊娠・出産の申し出をしたこと、産後パパ育休の申し出・取得、産後パパ育休期間中の就業を申し出・同意しなかったこと等を理由とする不利益な取り扱いも禁止されます。
また、事業主には、上司や同僚からのハラスメントを防止する措置を講じることが義務付けられています。

ハラスメントの典型例
・育児休業の取得について上司に相談したら「男のくせに育児休業を取るなんてあり得ない」と言われ、取得を諦めざるを得なかった。
・産後パパ育休の取得を周囲に伝えたら、同僚から「迷惑だ。自分なら取得しない。あなたもそうすべき。」と言われ苦痛に感じた。

今後の改正点について(令和5年4月1日~)

育児休業取得状況の公表の義務化

従業員数1,000人超の企業は、育児休業等の取得の状況を年1回公表することが義務付けられます。
⇒公表内容は、男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」です。取得率の算定期間は、公表を行う日の属する事業年度(会計年度)の直前の事業年度です。インターネット等、一般の方が閲覧できる方法で公表してください。自社のホームページ等のほか、厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」で公表することもおすすめします。

就業規則の変更について

さて、ここから就業規則のお話になりますが、就業規則において「休暇」に関することは、絶対的記載事項(絶対に就業規則に記載しないといけないこと)に該当します。

つまり、この育児介護休業法における「休暇」等については、法律で決まったことであったとしても就業規則の絶対的記載事項である以上、法律の施行がある時点までに就業規則に記載する必要が生じるということになります。

そのため、育児介護休業法に関する記載が一切ない、または、あったとしても法律の改正に追いついていない就業規則

は、厳しい見方をすると法律違反ということになります。

そのため、いち早い就業規則の改訂をおすすめします。

まとめ

いかがだったでしょうか。

育児介護休業法については、近年多くの改正が行われています。

その都度、就業規則を見直すことは大変かもしれませんが、コンプライアンスを重視している企業か否かは、今いる従業員さんやこれから入社する方にとっても非常に重要なことと言えるでしょう。

特に、育児介護休業法は、よく言われる「ワークライフバランス」の観点からも非常に重要な休暇です。

是非、働きやすい職場を目指していくためにも、適切な制度の導入を目指しましょう。

 

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