なぜ、いま個人事業主の働き方に焦点があてられるのか?~大手ショッピングサイトを例に考える~

こんにちは。社会保険労務士・行政書士の浜田です。

今日は、先日問題になった大手ショッピングサイトの配達業者の労働問題について取り上げます。

あなたは個人事業主?それとも従業員?

問題になったのは、個人事業主として働いている人を「従業員(労働者)」と同等に扱っていたことです。

今回は、「指揮命令下」にあったか否かが争点になっていますが、

つまり、「個人事業主と言いつつも、従業員と同じ働き方をしているでしょ?それはダメだよね」

ということです。

もう少し掘り下げてみましょう。

今回の事例としては、大手ショッピングサイトの配達を請け負っている大手配達会社が、直接配達しているわけではなく、その大手配達会社と業務委託契約をしている個人事業主が、実際には注文をした個人ユーザーへ届けている

という構図です。

そして、その大手配達会社と個人事業主は、「業務委託契約」であるにもかかわらず、実際は従業員と同じような働かせ方をしており、

仕事の裁量が個人事業主にはなかった=指揮命令下にあった

ということになり、この大手配達会社は、労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告をされたのです。

個人事業主と従業員とは、天地の差がある!

これは、保険関係の話になるのですが、個人事業主と従業員とは天地の差があります。

・健康保険、厚生年金保険、労災保険、雇用保険といった主たる保険は個人事業主にはかかりません。

・また、労働基準法の割増賃金や休日といった規定も、個人事業主には適用されません。

当たり前と言えばそうなのかもしれませんが、個人事業主の中には上記のようなことが分からずに知らず知らずのうちに事業主から搾取されている可能性もあるのです。

今回は、実態は個人事業主でないのに、個人事業主として働かせていることが常態化してしまっている運送業界にメスが入った形といえるでしょう。

他の業界も例外ではない⁈

私が普段かかわっている、建設業界やダンス業界も、運送業界と同様の事象が多々起こっています。

数年前に起こった電通事件もそうですが、労働問題については、今の世の中ではかなり大きなニュースとして取り上げられることが少なくありません。

そのため、労働基準監督署の是正といった直接的な話はありますが、「社会的信用」といった間接的に受けるダメージも相当なものです。

今後も上記のような問題が、より顕在化してくると思いますので、事業主様はしっかりと労務管理に向き合うようにした方がいいといえるでしょう。

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